斬蛇谷で大蛇を斬った小原幸千代
どんな伝承か
美土里町生田の犬伏山の南、滝ヶ谷という所に大昔大蛇がすみ、通る人を呑んでいた。建久年中、石見の築村五本木の家の祖である小原幸千代が人々の難儀を救おうとやって来て、麓の民家で弁当を食べて山に入り、大石に陣取って待ち受けた。やがて山が揺れ谷が鳴って長さ九メートルほどの大蛇が襲いかかったので、首を斬り落とし、続いて現れたもう一頭も討ち取った。土産に大蛇の耳を四つ切り取り、麓で刀を洗って水を飲むと気を失い、民家の者に介抱されて正気づいた。のち石見の小原家では怪しいことが続き、家の者は四十になると上の前歯がすべて抜けると伝わる。
原典より
幸千代は飛びかかって細首を切落し、頭に刀を貫いたが、これはまだ雄雌の大蛇だから今一頭居るにちがいないと様子をうかがっているうち、又一つ飛びかかって来た。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。