青草から生まれた人間の島
どんな伝承か
天上の大きな国に神々が集まっていたころ、下界に誰かが島を造った。調べると日の神の仕業だったが、その島には神も人もおらず魂のない国だった。神々が名を相談すると、暁の明星が遠慮がちに人間の島と呼んではどうかと言い、人間は自分が造ると告げて、天上の青草を丸めて下界へ投げ落とした。それが日の神の光に温められ、次第に醱酵して形を変え、ついに人間になったという。死後のことも問題になり、夜明けの明星が魂を納める場所を設けた。高い山には雷神が、沢には水の神が、続いて火の神が下りて、寒いときには人間を温めながらさまざまなことを教えたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。