砦址に残る疱瘡の翁の話
どんな伝承か
白老のオソロコチの崖の上には、チャシコツと呼ばれる砦の址があり、土地ではカムイエカシ・チャシといった。カムイエカシとは、かつてポンアヨロにあった部落の先祖の偉い翁のことである。あるとき釧路のアイヌが本土へ交易に渡り、帰りの船中で疱瘡にかかった者が出た。それを隠したままポンアヨロへ立ち寄り、膿のついた食器を置いて去ったため、部落の人びとはみな疱瘡で死んだ。最後に残った翁も立てなくなり、坐ったまま小便をした。それまで女も立って用を足していたが、以来おそれ多いといって、かがむようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。