痘瘡神カスンテと衰えたアッケシ
どんな伝承か
痘瘡の神はオリバカムイ、パコロカムイとも呼ばれ、アイヌが数を減らした一因として最も恐れられ、多くの説話が語られてきた。カスンテは神が人の胎を借りて生まれた子で、歩けば闇夜でも水面に月が浮かぶように光り輝いたという。争いの末に殺されても霊はたびたび生まれ変わったので、ついに上下の顎を引き離し、上顎は木の股に結び、下顎には石を縛って海底へ沈めた。以後は生まれ出なかったが、その祟りで釧路厚岸のアイヌは痘瘡に倒れ、残った者も海嘯にさらわれ、アイヌの大きな集落であったアッケシはほとんど衰えてしまったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。