カムイエロキで聞いた神々の歌
どんな伝承か
十勝の足寄には、カムイ・エロキと呼ばれ、土地のアイヌが何かあるたびに酒を捧げて祈る山がある。昔、一人の男が山狩りに出て道に迷い、この山の上で野宿したところ、夜中に神々が集まって歌い踊り、やかましくて眠れなかった。朝になって逃げ帰る途中、大きな熊に出会ったのでこれを仕留め、村へ帰って話をすると、人々も神々の歌を聞こうと出かけて行った。しかし、わざわざ聞きに行ったときには神々は現れず、狩りの途中で迷い込んで野宿した者だけが聞けたのだという。この山の上にも神々の舞い遊ぶ庭があり、雷が鳴るときはここで一番すごい音がするといわれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。