三百文の願掛けで授かった姫
どんな伝承か
朝日の長者は数の宝を持ちながら子がなく、御手水で身を清め、黄金の鉢に三百文を納め、鰐口を打ち鳴らして、三七日ものあいだ子種を授けよと祈った。やがて御台所は身ごもり、女の子が生まれ、十二人の乳母が付き添って育てられた。十三になったころ、厩のせんだん栗毛が姫に恋の病を得て、糠も草も受けつけなくなる。長者は怒り、八人の舎人に命じて馬を花園の山へ引き上げ、刺し殺して皮を剥ぎ、桑の木の枝に張らせた。すると生臭い雨が降り風が吹き、姫の行方も分からなくなった。三月十六日、黒い虫と白い虫が降り、桑の芽を刻んで飼うと、しず子・竹子・舟子・庭子と名を得て育ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。