ごんが河原に晒された千段栗毛
どんな伝承か
まんのう長者は姫を一人持ち、厩に千段栗毛という名馬を繋いでいた。十六になった姫は女房たちと厩へ下り、肩に泉の文字が七流れ現れた馬の見事さに、人であれば一夜の契りも結べようにと霞の鞭で三度撫でて歌を詠んだ。馬はそれから餌を受けつけず、博士が姫への恋煩いと占う。怒った長者が厩へ下って叱ると、馬は北に向かって三度いななき、舎人たちが元綱を切ってごんが河原へ引き出し、四本の杭に晒した。姫は忍んで南へ尋ね、桑の木の枝の皮を見つけて経を読み念仏を唱え、天の羽衣に包まれて天竺へ昇った。神下ろしの告げどおり三月十六日、白き虫と黒き虫が玉手箱で舞い下り、桑の葉で飼われて国の宝と名づけられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。