宝の玉と十六文の帽子を交換した狐
どんな伝承か
佐井村の山にはさんこう狐がいて、よく人をだますといわれた。ある日、隣村の法事を終えた寺の長老伝次郎が夜道を帰ると、前を若い女が歩いていた。長老は、おはなさんではないか、尻から尻尾が出ていると言い当てる。女が狐だと白状すると、長老は、これは何でも見通せる魔法の帽子だと偽って、狐の持つ宝物の玉と十六文の帽子を取り替えた。狐は喜んで翌朝その帽子をかぶって町の魚屋へ入ったが、狐の姿のまま見破られて天秤棒で打たれ、大怪我をして山へ逃げ帰った。狐たちは集まって玉を取り返す相談をしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。