油揚げと衣で狐の宝を奪う和尚
どんな伝承か
越後の津川に伝わる話である。山中に悪い狐が棲んで村人が困っていると聞いた寺の和尚が、これをだまして宝を取ろうと狐穴を訪ねた。油揚げだけでは足りぬという狐に、着れば油揚げ屋から好きなだけ取れると衣を勧め、油揚げ五枚と衣で宝物と交換させた。ところが狐は店で見つかり棒で追われる。狐は今度は和尚の祖母に化けて宝を見せろとせがみ、まんまと取り返した。すると和尚は烏帽子に直垂の太夫に化けて現れ、稲荷の宝を人に奪われるような役立たずには預けておけぬと言って宝を巻き上げ、寺へ帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。