棺を下ろした貧しい和尚と猫
どんな伝承か
昔、津川の寺の和尚は托鉢をして歩くばかりで、葬式を出せるような和尚ではなかった。それまで大事にしていた猫が、十七年も育ててくれた恩返しに、今度の葬式の折には棺を巻き上げ、和尚さんが行ったら下がるようにすると言った。まもなく財産家の婆さんが死に、葬式の時に大風が吹いて棺が舞い上がり、松の木の梢にかかってしまった。あちこちの寺の和尚が集まって拝んだが下りない。そこでこの和尚が行き、トラヤトラヤ、オドセヤオドセヤと唱えると棺は下りた。それから和尚はよく暮らしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。