お大日様に供える二匹の鮭
どんな伝承か
十月五日のお大日様の祭には、鮭を二匹供える習わしがある。どれほど川水が細っていても、この日には必ず鮭が二匹のぼってくるといい、これをお大日様参りの鮭の大助、小助と呼ぶ。義経が一宿の礼に残したと伝わるお大日様の掛図は、この鮭を煮た湯鍋から湯気の立つ向こう側に、わずか数秒のあいだ拡げられるだけである。そのとき参詣人は、掛軸のうちに不吉な未来などを見てしまうことがあるという。供物は鮭と里芋と決まっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。