孫の汲む水に報いた錫杖の井戸
どんな伝承か
出羽国水晶山の麓にある猪野沢の越倉という処に、貧しい百姓が住んでいた。そこには祖母と男女二人の孫がいた。あるとき一人のみすぼらしい旅僧が訪れると、祖母は家が貧しくて充分あげられないがといって米をあげた。旅僧は感謝しながら一杯の水を乞うたが、あいにく水がなかった。井戸は崖の下にあり、二人の孫が毎日汲みに出かけていると祖母は話し、孫にすぐ汲んで来るようにいった。僧は二人の汲んできた水を飲み、水の不自由さを知って、持っていた錫杖で庭の一隅を突いた。すると不思議にも水がこんこんと湧き出て、そこが立派な井戸になった。その僧こそ弘法大師であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。