弥彦明神の土産になった人魚
どんな伝承か
弥彦の明神が野積浜においでだったころ、金五郎という老人が招かれて出向いた。台所の鍋が煮え立っていたので、焦げついてはいけないと蓋を取ってみると、中身は人魚であった。やがて膳に魚の煮付けが出たが、さきの人魚を思い出して食べる気になれない。帰りぎわ、それを筍の皮に包んで土産に持たされ、老人は家の戸棚にしまっておく。野良から帰った娘が知らずにこれを食べてしまい、以後は十七の姿のまま齢を取らず、八百歳の長寿を保って全国の巡拝に旅立ち、若狭の小浜で入定したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。