鎗を忘れた男と弥三郎婆
どんな伝承か
孫助という男が川魚を獲りに山へ入ったとき、谷川で鎗を研いでいる一人の男に出会った。素姓の知れないその男と知り合いになり、以後、彼はたびたび孫助の家を訪れるようになる。奇妙なことに、便所に行くときも風呂に入るときも、男は決して鎗を手放さなかった。ところがある日、男は庭先に鎗を忘れて帰ってしまう。孫助が訪ねて行くと、男は寝込んでいた。男が言うには、鎗を忘れて帰った夜、形相の凄まじい白髪の老婆がやって来て、「弥彦山の弥三郎婆を忘れたか」となじり寄られ、そのとき以来具合いが悪いのだという。そう言い置いて、男は息を引き取ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。