袖の雌雄二匹で占う法印井綱氏
どんな伝承か
山形県南置賜郡中津川村の須郷に、苗字からして井綱と称するイヅナ使いがいた。法印で、家に巻物があり、いつも小さい狐を袖に入れて歩いている。伺いを立てるときにはまず雌を使いに出し、なかなか帰って来ないときには雄を出すと帰って来る。狐は必ず何かをくわえて来るから、それによって判断するのだという。このイヅナを使う者が何か違法なことをすれば効き目がなくなる。井綱氏はふだんは百姓をしていて、頼まれれば観るという程度であった。この地方には狐憑きの話がかなり多いが、それはイヅナとは別のもののように思われているらしい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・石塚尊俊・民俗学・昭和(民俗調査))
民俗学者・石塚尊俊『日本の憑きもの―俗信は今も生きている』。日本各地の憑きもの俗信を実地調査と文献で体系化した研究の決定版。