観音の首に残る一太刀の疵
どんな伝承か
越前国名勝志によれば、田中山竜沢寺は曹洞宗で御簾尾村にあり、開山は梅山聞本和尚、能登総持寺の塔頭普蔵院の大源宗真和尚の弟子である。寺には二寸ばかりの土仏の観音が座す。昔、梅山が洛陽六角堂のほとりを通ると、小童十八人が寄り集まって土で三十三体の観音を作っていた。不思議に思って所望すると一体を与えられ、礼をしている間に残る三十二体も十八人の童も消え失せた。仏の作かと信仰を深めたが、のち山中で盗賊に遭い、たしかに斬られたと思ったのに身には何ごともなかった。観音を取り出して拝むと、首のあたりに一太刀の疵の跡があったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。