投げた石が化した一石山
どんな伝承か
金華山には一石山という別名がある。昔、方県郡雄総村に一人の放蕩者がいて、父に勘当されて諸国を流浪した。奥州の金華山まで至って大いに悔い改め、故郷へ帰って父に詫びようと思い立つ。奥州へ行った証しにと山の小石を拾おうとすると、巫女が、この山の神は下駄や草履に付く土砂さえ惜しむのだから、小石を持ち帰れば神罰が恐ろしいと止めた。男は聞かずに小石を採って帰り、叔父を頼って改心の次第を語り、勘当を解いてほしいと乞う。父はこれを聞くと、奥州の石だと偽って自分を欺くとは不都合だと怒り、石を掴んで力任せに投げた。石は岐阜まで飛び、一夜のうちに山と化したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。