赤い炎を吐いた清姫と勢力橋
どんな伝承か
安珍の後を追った清姫が片倉峠を越える頃には、安珍の姿はどこにもなかった。清姫は峠の茶屋の軒先の大きな木によじ登って行方を探したが人影さえない。坂道を駆け下るうち疲れが出て、這うようにして西岩代川のほとりに辿りついた。川の水をすくって飲むと、清姫の体には異様な力が湧き、眼はかがやき形相は物凄くなった。赤い焰を吐きながら坂を上る後ろ姿を見て、村人たちは「坂が赤い」と叫んだ。その後いつしかこの坂を赤坂とよぶようになり、清姫が水を飲んだ所に架かった橋を勢力橋という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。