海に沈んだ三十六鳥居と大倉島
どんな伝承か
安乗の湾口はかつて今の半分ほどの広さで、集落は湾口の中ほど近くまで延びていた。岬の突端の高みには大松が立ち、その根元に竜宮の宮が祀られ、石段に沿って三十六基の石鳥居が並んでいたという。三百年ほど前の大地震と津波でそれらは海へ沈み、残ったのが大倉島である。海中に今も見える鳥居はその一部で、百年ほど前には海底の竜宮を訪れ、饗応を受けて数日後に無事戻った海女もいたと伝わる。八十石社はこの竜宮の遙拝所とされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。