蓮糸の曼荼羅を織った中将法如尼
どんな伝承か
当麻寺の本堂は俗に曼荼羅堂と呼ばれる。中将姫は雲雀山から奈良へ戻ったものの、自分がいるばかりに継母は逐電し、家来嘉藤太の娘は身代わりとなって死に、実母も自分を生んだために世を去ったと思い定め、世の無常を観じて十九歳で当麻寺に入り、中将法如尼と名を改めた。二十六歳のとき生身の仏を拝みたいと三七日の願を立てると、満願の暁に長谷観音の化身という老尼が現れ、百駄の蓮の茎を集めさせて糸を取らせた。糸は染井で染められ、老尼に手伝われながら一丈五尺の曼荼羅が織り上がる。姫は阿弥陀如来と二十五菩薩の迎えを受け、生きながら西方浄土へ旅立ったといい、五月十四日の練供養がその法悦のさまを再現する。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。