身代わりの娘と日張山の青蓮寺
どんな伝承か
中将姫をにくんだ継母は、家来の松井嘉藤太に、その所領地である宇賀の山奥、日張山(雲雀山)へ姫を捨ててくるようにいいつけた。嘉藤太は心ならずも姫を輿に乗せて雲雀山へ行き、覚悟をうながす。姫は一日に七巻の経を読む習わしで残る三巻を読みたいと乞い、読経を終えると首を切って持ち帰れといった。嘉藤太は姫を救う決心をし、奈良へ引き返して妻と相談していると、隣で聞いていた娘が自害して身代りになった。夫婦は娘の亡骸を雲雀山に葬り、三年のあいだ姫を護って暮らし、父と対面させて奈良へ連れもどした。姫がのち雲雀山に建てた寺が青蓮寺だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。