狐の産を取り上げた医者と消えた膳
どんな伝承か
百年ぐらい前、武田という医者がおさん狐の子を取り上げたという。小雨の降る夜、家内が産をするので見にきてほしいと男が来たので、医者は行って子を産ませた。それから一週間たって、引出物や折箱を持って礼に来た。あとで聞くと、こうろという家で祝いごとをしたとき、膳がどうしても一人前足りなかった。その膳をそっくり盗んで持って行ったのだという話であると伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。