野壷に落ちた強気な村医者
どんな伝承か
おさん狐にはいつも人が化かされて困っていた。その村の医者は自分は化かされるものかといっていたが、ある晩『旦那さん、どこへ行かれますか』と声をかけられた。『どこでもええ、お前おさんだろうが』というと、『何をおっしゃいます、今晩わたしが案内させてもらいます』という。ついて行くとものすごくきれいに見えた。医者がなかなか帰らないのでみんなが捜すと、野壷に落ち込んでいた。おさん狐は人を自由にする動物だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。