抱かされた子が石になった話
どんな伝承か
昔、おさんという賢い狐がいた。おさんくらいの者に化かされはしないという男がいたが、向うできれいな女になって子供に乳を飲ませているのを見て、『おさん、お前がどうしたところで、おれくらいの者はだまされない』と声をかけた。おさんは『あんたは賢い人じゃけえ、よう化かすまい。向こうの人を化かすから、この子を抱いていてくれ』という。男が引き受けて抱くと重くてかなわず、大きな石を抱かされていたという。おさん狐には何様でもかなわなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。