笠井山の古松にかかる陰火
どんな伝承か
東備郡村志の伝えるところによる。畑邑の笠井山は金山の前にある高い山である。姓氏録にいう応神天皇二十二年の行幸で遊猟した加佐米山、夫木集の歌に詠まれた笠目の山はこの山だとされ、また素盞鳴尊が脱ぎ捨てた笠を埋めた所だから笠井の名を得たとも伝える。山の中腹に妙法寺があり、天平勝宝年中に報恩大師が草創した。境内の薬師堂の前には古い松が一株あって、夜になると梢に火が一点かかることがある。近くで見れば少しの光もないが、遠く望めば灯火のように見え、里人はこれを竜灯と呼ぶ。おそらく陰火だろうと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。