栗を分けた子と石を投げた子
どんな伝承か
川上郡備中町の安田には、年に三度実をつける三度栗があるという。昔、腹をすかせた弘法大師がこの地を歩いていて、栗を採って帰る子供に分けてくれと頼んだ。子供は持っていた栗をすべて渡したうえ、もう少し採ってやろうと言って集めてくれた。大師は感激し、この親切の返礼に年三度実るようにしようと告げ、以来そのとおりになった。ところが備中から備後へ入った大師が同じように栗を求めると、子供は栗を渡さず石を投げつけた。怒った大師が栗を実らせぬようにすると言ったので、その土地では栗がならなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。