人柱にされた板ん唐箕売りの地蔵
どんな伝承か
利弘には板製の唐箕をこしらえる「いたんどう」屋があり、農閑期には板ん唐箕を担いで売り歩いていた。ある日、旧神門村にあたる出雲市の方へ出向くと、折しも大川の橋普請が難航し、人柱を立てねば工事が進まぬ有様で、この道によそ者が通れば人柱にすると決まっていた。そこへ現れたのがこの唐箕売りで、捕らえられて人柱にされ、橋は無事に成った。利弘では待てど帰らず、のちに事情が知れたがどうにもならず、村角に大きな地蔵尊を建てて命日ごとに供養した。今も地蔵さん角と呼ばれる場所があり、家筋も分かっているので回向が続けられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。