牛鬼渕の毒流しと長者一家の全滅
どんな伝承か
ここに牛鬼渕という渕があって、牛鬼が住むと怖れられていた。あるとき、高瀬太郎兵衛という長者が、この渕に毒流しをして魚を狩り尽くそうとした。夜、夢枕に美人が現れ、子どもが成長するまで毒流しをやめよと言う。また炉に茸が生え、馬が止めろと人語を発し、釜がゴウゴウ鳴るなどの不思議があった。太郎兵衛はかまわず毒流しをして、狩り集めた魚で酒宴をしていると、一天かき曇り、雷電驟雨のうちに山崩れが起きて、太郎兵衛一家は全滅した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。