流された水神の島を海で見つけた話
どんな伝承か
増間川の上流に大きな岩の島があり、水神をまつっていた。ある年、二日二晩の豪雨で山が崩れ、川が荒れて島は流されてしまう。雨があがって村人が見に行くと島は消えていた。人々は滝田との境まで探し、見つからないので川堤づたいに下り、平群川から湊川へ出て湊の川口まで来たが、やはり見あたらない。そこで老人の言うまま船を雇い、那古の海岸から船形をへて大房岬へ向かうと、その出っ鼻にそっくりの島があった。村人は喜んで注連縄を張り、もとどおり水神をまつり、正月と秋祭りに供物を持って参るようになったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。