家康が旗を立てた陣場の老松
どんな伝承か
浅尾新田の字陣場にあった松の話である。天正壬午の年、徳川家康が甲斐へ入ったとき、上手村の徒歩橋——今の勝橋——から入ってここに陣を張った。そのとき旗を立てた松は長く生き続け、木陰が二十間あまりに及ぶ老松になったが、明治三十年に焼けてしまった。その松の下に東照宮を祀ったことが『甲斐国志』に見えると伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。