卵から生まれた娘が大蛇になる
どんな伝承か
東松山市唐子での話である。昔、浄空寺の門前に鬼婆が住んでいた。子がないのを嘆いて岩殿観音に祈り、仁王門の下に落ちていた卵を拾って抱いて寝たところ、女の子を授かった。娘は七つになると家で寝泊りしなくなり、朝になるといつも袖が濡れている。不審に思った鬼婆が叱りつけると、娘はたちまち大蛇と化して近隣を荒らしまわった。そこへ田村麻呂将軍が下向してきて、この大蛇を討ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。