日照りを救った大師の読経
どんな伝承か
田端の岡田が谷戸に田を開いてまもないある夏のこと、ひどい日照りが続いて水が涸れ、里の人々は困り果てていた。ちょうどそのころ、諸国を巡っていた弘法大師が通りかかり、事情を聞いてかならず救うと言い残し、経を口ずさみながら立ち去った。すると幾日もたたぬうちに雨が降りはじめ、田はほどよく潤った。その年は稲だけでなく五穀すべてが豊かに実り、その後も実りの多い年が続いて、水が尽きることもなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。