身を投じた山伏の幽心土手
どんな伝承か
雷山川の末流が加布里湾へ注ぐ河口の南側に、幽心土手と呼ばれる堤防がある。昔この土手は暴風のたびに波に崩され、近くの住民を悩ませていた。寛政のころ、復旧の工事がはかどらず人々が困っていると、幽心という山伏が通りかかり、継ぎ切れを横にあてた着物を着ている者を人柱にすれば竜神の心が和らぎ堤は崩れぬ、と告げた。百姓たちが着物をあらためると、言い出した山伏自身の法衣の裏に横継ぎがあった。山伏は身に石を結びつけて渦巻く潮へ身を投じ、以後堅固な長堤が築かれたという。生き埋めになったという場所には、地蔵大菩薩と刻んだ古碑が立っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第13巻』所収の「文化叙事伝説」全35話(福岡・大分・佐賀・長崎=北九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。