歎の社と呼ばれる奈牙木杜の旧地
どんな伝承か
隼人町の奈牙木杜は蛭児を祀る。神代紀に、蛭児は三歳を経てもなお脚が立たないので天磐橡樟船に載せ、風のままに放ったとあり、その磐機樟船が漂着した跡がここであるという。もとの所は今の社頭から東へ六十間ほどの叢林で、そこを今も歎の社と呼ぶ。樟の根に空洞があり、その周りは十尋余りある。磐樟船から葉を生じて巨木となったものが枯れたのだという。このあたりは宮内原といって曠野であったが、享保の頃に新たに開いて水田となったのち、水難を避けて寛延三年に今の地へ遷座したと伝える。古歌が数多くあると記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。