箸蔵山の木の炭から火が出た鍛冶屋
どんな伝承か
箸蔵山の木を惜しむ山神の祟りは、山から遠く離れた徳島の町にまで及んだと語られる。徳島の新町に住む鍛冶屋が、買い入れて積んでおいた炭からひとりでに火が出て、自分の家ばかりか隣の家まで焼けてしまった。あとで聞いてみると、それは箸蔵山の木を焼いてこしらえた炭だったという。
原典より
また徳島新町の、かじや某は炭を買って積んでおいたのから自然に火が起り、隣家まで焼けた。 あとになってきくと箸蔵山の木で焼いた炭だとのことだった。—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年))
『阿波の怪談』は、横山春陽が昭和三十三年に編み、徳島新聞出版部から発行した郷土の怪談集である。徳島県の各地と土佐との国境の山中に伝わる山女郎、淵や池の主、カッパ、亡霊、火の玉、タヌキやキツネ、大ジャの話を、平安朝の言い伝えから藩政期、明治・大正、昭和の出来事まで、編者が古老に聞き、書物から拾って題ごとに並べる。おわりにでカッパやヘビの話の多い地域や海の話の少なさについて記す。