星の宮の見合いは狐の仕組んだ嫁入り
どんな伝承か
名古屋の九十軒町に住む桶屋のもとへ、西春日井郡春日村の豪農加藤彦八の妹を七十五釣の荷物付きで嫁に世話しようという話が持ち込まれた。桶屋は有頂天になり、阿原の星の宮で見合いをすると、相手は清洲町で評判のうどん屋の娘だった。縁談はすぐまとまり、桶屋は隣家の土蔵まで借り、町内を招いて祝いの宴まで開いた。新郎が仲人に案内されて訪ねた嫁の家は立派な屋敷で、ご馳走に酔いつぶれてしまう。一方桶屋が枇杷島橋まで迎えに出ても花嫁も荷物も来ない。目を覚ました新郎たちがいたのは清洲町朝日の愛宕社の社殿で、すごすごと名古屋へ帰った。桶屋はその後家運が傾いて破産したという。すべて愛宕社に古くから住む狐の仕業だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。