書付を返した鹿子島の賢い鼠
どんな伝承か
葉栗郡草井村、今の一宮市鹿子島には、たいそう賢いねずみがいたという。ある時、村のお宮の大切な書付がなくなり、村中大騒ぎとなって八方を探したが見つからなかった。困りはてていたある日、一人が郷倉の戸を開けると一匹のねずみがこちらをじっと見ていたが、やがて姿を消した。するとそのあとに白い物が残っており、近寄ってみると探しあぐねていた書付だった。これは賢いねずみのおかげだろうと村中で相談し、それ以来この村では猫を飼わないことにしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。