道知辺稲荷
どんな伝承か
昔、吉田藩の武士が主君の用で江戸へ上る途中、箱根の山中で道を失った。日は暮れ、腹も減って途方に暮れたが、この武士は日ごろ旭町の稲荷を信仰していたので、難儀を救ってほしいと一心に祈った。すると暗い山道の先にぽつりと灯りが見え、それを頼りに進むと、やがて人家のある街道へ出ることができた。この出来事から、この稲荷は道知辺稲荷と呼ばれるようになった。社殿はのちに東田町へ移されたが、今も参詣者が絶えないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。