北条氏の忠犬を葬った犬塚
どんな伝承か
旧野上町の杉郷という所に犬塚がある。北条氏が鉢形城を本拠に秩父を治めていたころ、軍用犬として重んじられた四匹の犬がいた。四匹は鉢形の本城と、天神山城・龍ヶ岡城・高松城・虎ヶ岡城、倉尾村の日尾城など秩父の城々を結ぶ連絡役を務め、徳川勢が鉢形城を攻めた際も家来に劣らず戦場で働いた。しかし天正十八年に鉢形城は落ち、亡き主人を探して城々を駆け巡る犬たちの姿は土地の人々の涙を誘った。のちに人々はこの忠犬たちのなきがらを葬り、供養のために築いたのがこの塚だという。
原典より
秩父郡野上町の杉郷という所に「犬塚」があります。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。