正成の命を救った菊水寺の御守札
どんな伝承か
秩父札所三十三番菊水寺には、八人峠の山賊の話のほかに、楠木正成にまつわる伝説も残る。正成はこの寺を厚く信仰し、寺の御守札を常に肌身につけていたという。赤坂の戦いで正成は矢を射かけられたが、体にはかすり傷ひとつ負わなかった。不思議に思って肌守りを改めてみると、札に記された「一守様名」の四文字のところに矢の根が当たって止まっていた。正成はこの守り札のおかげで命拾いしたのだと悟ったと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。