奇岩に並ぶ三十三観音・大洞山
どんな伝承か
二井宿から北へ行った左手に、天狗岩など数十の奇岩怪石が谷から峯へ連なる大洞山がある。三十三観音や十三仏が安置され、観音岩として名高い霊場である。約千二百年前の大同年間、徳一上人が東北巡錫の折にこの山の岩窟で一夜を明かすと、夢に菩薩が現れ、観世音菩薩を祀るべしと告げた。上人は像を刻んで安置し祈願を修めた。のちに信仰は衰えたが、天保年間に徳門上人が有志と語らい、二井宿生まれの名匠戸田半七の手で再興された。半七は湯殿山麓の志津に弁天堂を建てた際、神仏の姿を現せと念じ、十数間の大蛇に乗る弁財天を見た。以後発心して大洞山麓に運栄庵を結び、石像を刻んで岩窟に安置したという。
原典より
二井宿駅から北へ約三軒行った左手に、天狗岩等の数十の奇岩怪石が谷から峯へ杉松の間に見える大洞山があります。—— 高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編)
山形県東置賜郡高畠町(屋代・亀岡・和田・二井宿・糠野目・高安・露藤ほか各地区。一部は隣接の米沢市・南陽市宮内・長井市)に伝わる伝説を、神仏/人物/怪異/動物/什物/地物/地名/地誌 の八篇に分類して集成する。屋代神社の鬼女縁起、犬の宮・猫の宮、安久津八幡、狐狸むじなの化かし、天狗・怪物・沼の怪、青葉の笛や応挙の幽霊画、伊達・上杉の城館跡や古戦場、地名由来など、高畠の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。