眼病のうばを姥子の湯へ背負った金太郎
どんな伝承か
平安中期、今の開成町酒田にいた豪族酒田義家は叔父に殺され、生まれたばかりの金太郎はうばに背負われて箱根山中の猪鼻岳、今の金時山の岩穴に逃れた。熊や兎を遊び相手に育った金太郎は怪力の持ち主だったが心優しく、年老いて眼病を患ったうばを背負って、岩屋から遠く離れた温泉へ毎日通い孝行したという。この湯が箱根七湯の一つ姥子温泉で、今もひなびた湯治場の趣を残し、伝説のせいか目に効くと聞いて訪れる湯治客が多いと著者は記している。
原典より
また心のやさしい一面を持つ金太郎は、年老いて眼病に悩むうばを背負い、岩屋からかなり離れた温泉まで毎日通って孝行したという。—— 神奈川の史実と伝説(小森良章・1975年(昭和50年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の史実と伝説(小森良章・1975年(昭和50年))
『神奈川の史実と伝説』は、新聞記者から県政の仕事に転じた小森良章が昭和五十年に著した郷土史の読み物である。倭建命の東征から鎌倉幕府の滅亡までを範囲に、神奈川県内に残る伝説を十一の篇にまとめ、走水の弟橘姫や足柄山の金太郎などを取り上げる。各篇は伝承地を副題に掲げ、伝説とその背景にある史実を結びつけて語り、古事記や吾妻鏡などの記録を引きながら著者の推測も交えている。