光明皇后の病と影向寺の縁起
どんな伝承か
天平十一年九月、光明皇后がにわかに重病にかかった。このとき聖武天皇の夢枕に一人の僧が立ち、「武蔵国橘の里に霊地があり、不思議な石がある。そこに薬師如来を安置すれば、皇后の病はたちどころに回復するだろう」と告げた。天皇はさっそく行基菩薩を召してこの地に寺院の建立と薬師像の彫刻を命じ、翌年四月に完成したところ、皇后の病は癒えたという。これが影向寺の起こりである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。