桔梗が育たない佐倉の将門山
どんな伝承か
平将門には七人の影武者がいて、戦のたびに同じ姿の将門が七人も現れ、どれが本人なのか誰にも見分けられなかったという。そこで貞盛と秀郷はひそかに美しい女を将門のもとへ送り込み、こめかみが動くのが本物だという知らせを受け取った。下総の佐倉のあたりで戦いになると、貞盛はこめかみの動く将門を狙って矢を放ち、馬から落ちたところで秀郷が首を取った。最期の将門はこの女を深く恨んだ。女の名は桔梗の前といい、将門が陣を構えた跡と伝わる佐倉近くの将門山のまわりには、今も桔梗が生えず、よそから根を移して植えてもすぐに枯れてしまうと言われている。
原典より
されば今に云って將門山のほとりには桔梗生せず、他處より根をうつし植ても立所に枯るといへり—— 江戸傳説(佐藤隆三) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。