瓢が結んだ竹芝の長者と姫宮
どんな伝承か
飛騨の匠、猪名部の墨縄は仙人魯仙から、仙界を追われた仙人が持ち出した二つの瓢の話を聞いていた。武蔵国の竹芝に着いた墨縄は、立ち寄った酒屋の入口に、風が吹くと音を立てるその瓢が懸かっているのを見つける。その家は竹芝の長者と呼ばれた旧家だが、家産を隣村の者に奪われ、山人という若者が母と細々と酒を造って暮らしていた。墨縄は山人を伴って京に上り、御所の造営で匠の頭となり、山人を衛士として仕えさせた。姫宮が夢に見た美少年が山人であったことから二人は契りを結び、武蔵国へ落ちのびる。のちに山人は武蔵の国造に任じられた。台町の済海寺のあたりが館の跡、亀塚は瓢を埋めた塚だと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。