小判を運んだ猫と親子の再会
どんな伝承か
小石川丸山町から氷川下へ下る坂の下、小石川の流れに架かる橋を猫また橋という。寛永のころ、川越の絹商人彦兵衛の家の門前に捨て子があり、夫婦は門二郎と名づけて育てた。彦兵衛は浪人塚山新八に金の無心を断って恨まれ、殺される。母のお波は門二郎に武芸を仕込むため、形見の斑猫を連れて小石川氷川神社のあたりへ移り住んだ。やがて猫が夜ごと小判をくわえて来るようになる。近くの質両替屋鎌倉屋喜平が、金を持ち去ろうとした猫を打ち殺して川へ捨てた。死骸を貰い受けに訪ねた門二郎の顔と持参の刀・守袋から、喜平は自分が捨てた実の子だと知る。門二郎は仇を討ち、家督を継いだ。猫を弔って架けたのがこの橋だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
佐藤隆三編『江戸傳説』を全42話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。