母が大蛇となった畠山重忠の竜退治
どんな伝承か
源頼朝が重い病にかかったとき、夢枕に竜の生き肝を飲めばよいとのお告げがあり、頼朝は畠山重忠にその生き肝を取ってくるよう命じた。竜の棲みかが分からず途方に暮れた重忠は、夢の中で信州の松原湖へ行けと教えられた。松原神社の上社から弁天島へ下る坂で重忠は自分の母に出会い、母は自分が湖に入って大蛇になるから、それを討って肝を主君に捧げよと言い残して湖へ入った。たちまち水柱が立って大蛇が現れ、重忠はこれを仕留めて生き肝を鎌倉へ届けた。頼朝の病はすぐに治り、重忠は奉行に取り立てられ、頼朝は母を弔うため湖畔の神光寺に五重塔を建てたという。
原典より
すると忽ち水面に水柱がたち大蛇が湖上に現れた。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。