宏善上人の袖を霊が引いた念仏橋
どんな伝承か
越谷市大泊から上間久里へ向かう所に架かる念仏橋は、もとは渡るのにも気をつけねばならない小さな丸木橋だったという。安国寺二十五世の宏善上人は、この橋を渡るときには必ず念仏を唱えていた。別の話では、上人が橋を渡ろうとすると何者かが袖を引いて止めた。高徳で慕われていた上人の徳にあやかろうと、成仏できない霊が袖を引くのだろうという人びとの話を聞いて、上人は渡るたびに念仏を唱えるようになったという。また一説には、熊谷直実がこの地に来て本尊を大泊と上間久里のどちらに安置するか迷い、この橋の上で念仏を唱えたことから名が付いたともいう。
原典より
またこの話のほか、宏善上人がこの橋を渡る時、上人の袖を何者かが引いて止めたという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。