片目の魚を生んだ浄山寺の片目地蔵
どんな伝承か
越谷市野島の浄山寺の地蔵は片目地蔵と呼ばれる。天文八年ごろ、この地蔵は僧の姿で毎朝夜明け前に錫杖を振り、檀家の門口に立って起きて働けと触れ歩いた。ある時茶の木の株につまずいて片目を傷め、寺の前の池で目を洗ったところ、池の魚はみな片目になり、村では茶を植えるのを嫌うようになったという。のちに住僧の州宝が地蔵の身を案じて背に釘を打ち鎖でつなぐと、地蔵は出歩かなくなったが、和尚は悪い病で死んだ。享保のころ日岩という和尚が釘と鎖を外すと、寺は栄えたという。鎖は今も寺に残る。
原典より
そこで地蔵様は、寺の前の池で目を洗ったところ、それからというもの池の中の魚はすべて片目になったという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。