五寸釘で封じられた愛宕神社の竜
どんな伝承か
さいたま市大門の大門神社の境内西北に、愛宕神社がある。その拝殿に彫られた竜は左甚五郎の作と伝え、頭・胴・尾に五寸釘が打ち込まれている。昔、社の裏の崖下の池に雌雄の竜がすみ、竜が下の田んぼに姿を見せるとその年は必ず洪水が起きた。神主と名主は毎年七月二十四日に池のまわりへ食べ物や酒を供えて鎮めようとしたが、効き目はなかった。日光へ参る途中で名主の家に泊まった甚五郎がこの話を聞き、宿の礼に竜を彫って拝殿に取り付け、三本の五寸釘で封じた。それ以来竜は池から出ず、洪水もやんだという。
原典より
そのことがあってから、竜は池の外に出なくなり、洪水の難もなくなったという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。